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2016-07-01

ゲシュタポ長官のお抱え整体師 中編

写真  左ヒムラー   右ハイトリッヒ

写真 左ヒムラー 右ハイトリッヒ

「奇跡の指を持つ男」。Amazonを検索していたら、ふと画面に表れた不思議な題名の本に目が止まりました。ジョセフ・ケッセルというフランス人作家が「奇跡の指を持つ男」を取材して書いたノンフィクション小説でした。

あらすじを読むと、実に面白い。他に読まなくてはならない本がありましたが、後回しにして先の本の購入手続きに入りました。約50年前の初版本で、絶版のため、古書店では入手困難で高値になっているとか。Amazonでも2冊しかなく、元値350円が、7千円になっていました。入手し、読み始めると内容の濃さにグイグイ引き込まれていきました・・・。

太っちょフィンランド人のケルステン氏は、何をしてもパッとしませんでしたが、伝承医学(つまり整体)の習得には秀でていました。更に、チベット医学を習得した中国人から奥義を学び、一流の治療家に育ちます。独立して痛み・不調に泣く人々に施術を行います。3ヶ月先まで予約が埋まり、噂は王侯貴族から大実業家達にも轟き、重宝されます。ある日、実業家のひとりから、超有名人を施術するよう頼まれます。有名人とは、ナチス親衛隊長官ヒムラーだったのです。当時ナチスは日の出の勢いにあり、ヒトラー三羽ガラスの一人である彼の権力は絶大でした。ところが、慢性の胃痛・胃痙攣が弱点で、一流の医師でも、モルヒネでも治まりませんでした。ナチスの中ですら恐れられている司令本部に、ケルステン氏は単身乗り込みます。本部の前で車から降り、門番に長官に会いたい旨を伝えます。直接長官に会いたいという言葉に、門番が驚くのも無理はありませんでした。司令本部に訪れるのは、SS将校や政治家、又は密告者・スパイ。そして迫害・拷問を受けるため、連行されてくる人が主だったからです。現に、建物の地下では悲惨な拷問が行われていました。ヒムラーは警戒心が強く、部下ですら、何重もの手続きを踏まなければ話しすらできません。統括していたラインハルト・ハイトリッヒにすれば「こんにちは!」だけで素通りできるケルステンを心良く思えないのは、当然でした。さて、前置きが長くなりました。心待ちにしていたヒムラーは、丁重にもてなします。すぐに、胃痛を癒す施術に入りますが、私も整体師として、オーバーラップして場面に溶け込みます。毒ヘビの巣窟で、失敗は許されません。どのように、ケルステン氏は治療するのでしょうか?

続く

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