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2019-08-01

「肝試しの怪」夏限定 納涼話し

小学生の頃、入りたくも無いボーイスカウトに入団させられました。厳密には、中学以下の小学生はカブスカウトと言います。

毎年、夏になると合宿があります。ボーイスカウトになるとテント生活になるのですが、カブスカウトは、建物合宿でした。

母体はカトリック系の団体ですが、イジメ、差別や指導者のエコひいきなど茶飯事でした。

特に合宿のある毎年の夏休みが暗鬱でした。みんな辞めたがっていました。後輩のひとりは、合宿の時、終わるまでずっと目に涙を溜めていたものです。

さて、恒例の夏の合宿の始まりです。場所は、確か菅平高原だったと記憶します。

例年よりは、穏やかな合宿でありました。

明日は東京に帰れる前日、夜中に肝試しが行われました。真夜中の高原は、昼とは打って変わって不気味なものでした。やたらカエルや虫の声が響きます。最初に怪談話しで我々を怖がらせ、ピークになった時、肝試しは始まりました。先輩のボーイスカウトや、デンマザー(と呼ばれるヘルプの信者女性)が総出で脅かす用意を始めました。今回は肝試しとしては最高のシチュエーションで、みんな心臓がバクバクでした。

隊長と呼ばれる指導者(この者も信者)が、

「怖い奴はいるか?」

と尋ねるので、私含め、正直者が数人手を上げました。

こっちへ来い!と隊長が言うので、勇気づけてくれるのかと思ったら、違いました。ひとりずつ目立たない場所に呼び、後ろ向きに立たせるや否や、後頭部にガ〜ン!と衝撃が走りました。

「この根性無しが!」

吐き捨てるように言い放った隊長の手を見ると、ゴツい懐中電灯を握り締めてました。これで、叩いたのですね。この時、私は将来大人になって困る事があっても、この宗教だけは絶対入らないぞと誓いました。何で正直に言って虐待されるのかわかりませんが、私ら臆病者はラストのスタートにさせられ、しかも二人一組の筈なのに、一人で行くはめになりました。

経験した人は分かると思うのですが、最後になるほど恐怖心は倍加するものです。

やだけど、早く決められたコースからゴールを目指して終わりにしようと頑張りました。

さて、本題です。

お化けの役をやっている関係者に脅かされながら、何とか3分の2くらい経過した時です。雰囲気に慣れたせいもあり、夜道を観察しながら歩を進めました。ところが奇妙な物を私は見つけました。女がうつ伏せに茂みの中で倒れているのです。ピクリとも動きません。警戒しながら近づくと、等身大の人形でした。マネキンにしては、材質が違うように見えます。仕掛けのひとつかもしれない!?これで怖がりでもすればまた頭叩かれるかもしれない!?よ〜し、と私は人形を踏み付けてみました。すると、スポンジのように柔らかいのです。何だこれは?人が演じているわけでもなく、人形に仕掛けがあるわけでもない。何のためにこんな物を置いたのか?ついでに、人形を起こして、どんな顔をしているのか見てやろうかと思いましたが、嫌な予感がしてやめました。わけのわからないまま、無事ゴールに到達しました。終わった後は、安堵感からか、みんな最初とは大違いに、笑い声で盛り上がっていました。私は仲間に、最後にあったおかしな人形の事を話しかけると、みんな

「何それ?そんなの知らないよ」

と言うのです。

私は?となり、それとなく年長者やデンマザーにも尋ねると同じ答えが返ってきました。

では、私が見た、踏んだ人形は何なのか?考えてみれば、普通等身大のスポンジでできた人形なんてあるわけない。マネキンなら、石膏とか樹脂でできており、素材が誓いすぎる。どこかで聞いた話しだな?私は考えを巡らせて、思い出しました!水木茂さんの漫画に悪魔くんというのがあり、テレビで実写版も放映されました。その中に、マネキン人形の化け物の話しがあるのです。(下の写真)

振り向いたその顔は、デカイひとつ目の化け物で、シリーズの中でも特に怖い話しで有名でした。

不思議だが、みんなが嘘をついているようには見えない。でも、私が見て、踏んだ感触は幻などではない!私だけが遭遇した得体が知れない不気味な人形。もし、あの時私が人形の正面を起こしたら、一体どんな顔を見せられたのだろうか?


そう思うと、後からぞ〜っとしたものです。

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