1920年代のパリに因んだお話し ~後編~
少々、古い映画のお話しで恐縮です。前回観劇した、本多 力さん所属の劇団ヨーロッパ企画が、1920年代を舞台にしていたせいか、意識の下に刷り込まれていたようです。
何かというと、アマゾンプライム(月額を払えばオンラインで、映画が見放題)に入会してます。でも、パッとした映画が無いなぁ〜、解約しようかなぁ〜、と思っていた矢先、魅力的なジャケットの新作(アマゾンプライムに於いて)が目に付きました。
パリの風景なんですが、バックの模様が独特なんです。良く見たら、ゴッホの晩年に良く描かれていた、あのトグロ巻いた模様なのです。
題名は「ミッドナイト・イン・パリ」
吟味せず、フラフラと見入ったら、これが面白い!
物語りは、アメリカの売れない作家が、婚約者の両親と一緒に、パリに婚前旅行に行くんですね。
ところが、周囲と波長が合わず、夜のパリをひとり散策していたら、迷子になってしまった!ふてくされて座り込むと、いつしか、深夜0時の鐘が!と、共に古めかしい車が走ってきて、目の前で停まる。
中から見知らぬ人がドアを開け、旧知の仲のように、乗れ!と誘われる。
中でシャンパンを飲みながら、酒場に案内されるのですが・・・。
冴えない主人公は、味わいのある、1920年代のパリに憧れていました。特に、雨の日のパリに!
今、目の前で展開しているのは、正に1920年代の店の中でした!
驚くことに、若き日の、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリなど、立て続けに出会います。
一旦、店の外に出ると、現代のパリに戻り、1920年代のパリは、どこかに消え失せてました。一晩中、どこに行っていたのか?と詰問する婚約者に、いくら説明しても、信じてもらえません。早くアメリカに帰りたい!と言う婚約者と、パリに永住したいと言う主人公の間に亀裂が入り、訣別に。
ひとりぽっちで、少し、背をかがめて夜の街を歩く主人公に、知り合ったばかりの古道具屋の女性が、偶然声をかけてくる。彼女に、パリに住むことにしたと告げると、雨が降り始めます。何やら、良いムードになり、小雨の中を仲良く並んでいく後ろ姿を、カメラは定位置で、撮り続けます。何やら、遠近法で、一幅の絵の構図のようです。ファンタジー仕上げの映画で、
主人公ギルの役を、オーウェン・ウィルソン。監督が何とウッディ・アレン!何で驚くかと言うと、私はこの監督の甘ったるい演出が苦手でした。昔、映画館を5分で出てしまったことがあるくらいです。それ以来、当監督の映画は観たことが無かったものですから。作品の宣伝文句も、最高傑作と書いてありました。なるほど、ノスタルジックな音楽も映画に良く溶けこんでいる。私は、美術には疎いので、詳しい方が観たらひとしおではないでしようか?
2012年作品の映画で、アカデミー賞を受賞しています。AI化が進む現在、自然や、伝統、人間臭さを滲み出しているこの映画に、監督の強い意図を感じるのは、私だけでしょうか?
観て無い方は、是非、ミッドナイト・イン・パリをご一覧くださいませ!
後編 終わり