「キリンビール高知支店の奇跡」を読んで その3
今もどうか知りませんが、キリン本社の営業方針は、【量より質】を重んじるそうです。
著者が高知入りして初めに行ったのは、地域性の調査です。私は(えっ!今までやってなかったの!)と思いながら、ページを進めました。
まぁ、調査の結果、高知県民気質は、何でも一番が好き!というデータが出ました。離婚率日本一の県から転落しただけで、落ち込むというのもユニークです。
難点は、本社が時代に合わせるということで、キリンラガーの味を変えてしまったこと。前の味が良かったのに!と散々言われたそうです。
量より質を掲げる本社の意向に従い、営業で回る店も、反応(キリンビールが良く売れる)が良い店、普通、少ないで判断し、A・B・Cとランクを付け、全く顔を出していない店が多々あったこと。(これ、殿様商売って言うんじゃぁ?)
余程、、キリンさんは盤石だった時期が長いのですね~。何の商売でも、右肩上がり、及び安定は永遠だ!何ていう神話に浸ってはいけませんね。他山の石だと思います。
さて、著者が取った行動は?!
1.本社の指示といえども、邪魔であれば、無視する。
2.ABCランクなど付けず、どの店にもぐまなく営業で顔を出し、何か仕事を手伝ったりする。
3.店のご主人に、どうやったらキリンビールが売れるか、素直に尋ねる。
4.無駄な会議を一切やめる。
5.評判の良かったラガーの、元の味にもどさせる。お客さんから同意見が多く出たので。
細かいものは他にもありますが、大まかこんなところですね。
最初、来たことのないキリンビールの営業マンに、店のご主人達も驚いたようです。そんなニワカ営業を始めた若手に、アサヒのベテラン営業マンは、
「最近、チョロチョロしとるようだけど、ひとつも取れてないやんけ!」とからかわれ、悔しい思いをしたそうです。(・・半分当たっていますが)
一番大変なのは、5.の味を元に戻させることですね。著者がいかにやり手といえど、社長に向かって命令はできません。ところが、執念が届いたのか、絶対元に戻さない!と頑固だった社長が、ある取材でうっかり口を滑らしました。社内で元の味が良かったという声が多いので・・・、などと漏らしたから、後に引けなくなり、著者最大難関の、懐かしのラガーの味に戻せたのです。さぁ、後は徹底した宣伝と、誠意込めた営業で、2年かかりましたが、敵の本拠地で見事逆転勝ちの売り上げを上げました。
本社でも注目され、全国の支社からは、見学に訪れる人も多くなったのです。
面白いのは、著者はこの成功の後、東海本部長に任命され、特に名古屋を中心に高知で培った戦略を、試すことになるのです!
続く