この人だぁれ？ 後編

ドリルではなく、穴を売ることが契約につながると理解した高塚さんは、更に研究を深めます。

就活スーツのような、地味で固苦しいものは避け、イタリアをイメージした明るい素材の服に切り替えました。持ち物も、イタリア製の色鮮やかな物をさりげなく着用。自分のデスクのそばに大きな鏡を置き、常に安心感を与える、笑顔・仕草・声のトーンも研究。テーブルをはさんでお客様と対面する時も、お客の心臓から逸れた側に位置します。心理的圧迫感を与えないポジションなのだそうです。徹底して自分を磨き、お客様の望みの心底を察知し、共にwinーwinを築く！

こうして、地味な努力を積み重ねた結果、色の違いしかわからなかった元受付嬢は、気がつくとイタリア外車を800台も売った伝説のセールスウーマンになっていました。

自己改革のできない、俺が教えてやる！売ってやる！といった態度の先輩セールスマンは、退職していきました。

情報時代なので、スグに、ラクして儲かりますよ！という宣伝を業種問わず目にします。怪しげなコンサルタントもいます。

特に起業している人にとっては、苦況の時、ワラをも縋る気持ちから引っかかってしまうケースが多いようです。

でも、魔法の薬はないのです。

ひとつひとつ積み重ね、研究していく先に、大きい成果が出るものだと思います。

高塚さんの足跡は、焦る時にこそ、素直に頭を下げて勉強させてもらう価値がある！と、私は思うのですが？！