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2024-07-10

『ハーバード大学見聞録を見て』アメリカ教育の光と闇

元自衛隊陸将(最高権威)の福山 隆氏(地下鉄サリン事件の時、陣頭指揮を取り収めた方)が
2005〜2007年にハーバード大学に留学した見聞録のオーディオ学習を観ました。
 ハーバード大学アジアセンターの上級客員という名目で、どの教授、どの授業にも参加できるという好待遇の体験談です。
 ステイ先は、世界的に有名なエズラ・ボーゲル教授の自宅3階(屋根裏部屋)。教授は日本では『JAPAN AS No.1』というベストセラー作家として有名。日本の商社がゴッホの絵を150億円で競り落としたり、金満で世界にブイブイ言わせてた頃ですね。
 様々な体験をした福山氏ですが、いくつかまとめることができます。
『知は金なり』ハーバード大学を卒業して政財界で成功した人たちが、惜しまず後進に寄付をする。莫大な金額だそうです。それを元に優秀な教授や設備を整え、更に質を高める。福山氏は寺子屋ではグローバルな教育はできないと断言。
『個性を重んじる』人と違う意見を言ってこそ価値ありというのがベース。授業中の姿勢もチェックされるとか。
『やたら医療費が高く、金持ちなら快適に暮らせる国』歯痛でクリニックに行くと、全て分業で診断だけで約12万円取られた。
『他国の研究が凄い』日本だけでも専門に研究している学者が2000人いた。学術のためではなく、国益(相手国を如何に支配するか)の為。志賀直哉の暗夜行路という小説の主人公の心情とか、ケネディも尊敬した上杉鷹山とか、日本人が頭を掻いてしまうほどの研究度。

 『総括』

●アメリカの国民の意識の統一を保っているのは英語。多言語、多人種、多宗教の集まりなので溶け合うのではなく、回覧板みたいなもの。だから基本的に全てが雑。現在、フロリダ州ではスペイン語が増えているなど、やや崩壊の兆しが見えるようです。

 力こそ正義(金・軍事・情報)と信じている。一言で言えば弱肉強食。力で屈服させる。だから欧米含め、植民地や虐殺、奴隷狩制度など平気で行える。根底には根深いホワイトファースト。

●先だって日本チームが世界一になったWBC(アメリカ主催の野球の世界大会)を尺度にすると面白いものが見えてきます。

 優勝した後、大活躍をした大谷翔平選手が臨時放送席に招かれ称賛・質問を受けました。席には司会者と通算696本の本塁打を打った伝説の選手Aロッドことアレックス・ロドリゲス氏。同じく通算541本を打ったビックパピーことデビッド・オルティス氏。(写真参照。真ん中にクズが映り込んでいますが気にしないでください)

オルティス氏が大谷選手に『一体どこの惑星から来たんだい?』と質問します。大谷選手は『日本の田舎に生まれ、野球チームもあまりない環境で育つ。それでもやる気になればできるということを実証してきた』と回答。ロドリゲス氏は『日本で練習していた時、大リーグで尊敬していたり憧れていた選手はいますか?』と質問。これに大谷選手は『お二人です!」と即答。日本ではありがちな先輩を立てる言質なのですが、お二人は本当に大喜び。もちろん、日本式の社交辞令であることはわかっています。それでも今をときめくスーパースターが自分たち先輩に気配りする心意気が嬉しかったのです。  ところが代わって日米混血のヌートバー選手のインタビュー。ヌートバー氏、伝説の先輩を目の前にして全く臆することなくスラスラと答える。肝が据わっているのか?否!アメリカでは立てるという習慣がほとんど無いからです。まるで家の隣のオジサン達と会話しているみたい。あれが日本だったらまず失礼に当たる。つまり、『凄くても過去の選手じゃないか!俺は現役だよ!』というやや傲慢な接し方が通常なのです。

 少し言いたいです。このヌートバー選手、一生かかっても同席している先輩の記録の半分もいかないでしょう。自ら日本人と自称し、日本チームに参加しましたが、元よりアメリカチームだったらお呼びもかからなかったでしょう。先のアメリカナイズされた対応始め日本語も全く理解できず。その上、ウォシュレットの使い方も知らない方を同胞日本人なんて信じがたい。暮らす環境の問題ではなく、関心の問題です。ノミネートされないアメリカよりも日本チームに入ればテレビで世界中継される。栗山監督に招待されたことは百も承知。しかし、役得はスーパースターの大谷選手に近づける。大谷に自分の姉ちゃんを何とかくっ付ければ尚可!と思ったと言ったら言い過ぎですかね?大谷選手にハグしたまま離さないヌートバー選手の母親を見ていると、つい邪なことを考えてしまいます。

 話しを戻しますと、福山氏は寺子屋ではグローバルな教育に及ばないと言われましたが、果たしてどうでしょうか?大谷選手は野球に於いて寺子屋出身です。しかし、深く心技体を高めた結果、運動神経が優位と言われている黒人選手ですら真似できない地位を確立しています。アメリカで野球以外にボクシング界で超有名な選手がおり、実績と能力は称賛されています。しかし、来日した時『俺は強いんだ、偉いんだ!』という言動や金遣いは下品でまるで子供以下にしか見えません。知情意の意が低レベルな者が多いのは、金と力があれば最上とする教育・風習があるからです。日本人は単にアメリカの知識と分析力を真似ても意味ないと思います。知識とは?イコール『情報』です。その上をいく知恵とは?それは『最善の結果を出せるもの』と信じます。料理をするにあたり、良い食材を集めるの必定。しかし、食材を活かして調理するのは高度な味覚と腕が必要なのです。個人も国も資質を上げるのは物量が最上ではなく、深みと知恵が重要なんだと思います。野球の他にボクシングの話しまで脱線しました。脱線ついでに最後に華道会に触れて終わりにしたいです。

 当院のクライアントに、元草月流出身の女性がおられました。今は京都にお住まいです。彼女をもってして天才と言わしめる女弟子がいます。たまに来院されます。現在、他の方と会社を設立し、様々なイベントや大使館の要請などを受け繁盛されています。先の草月流の先生が、なぜ彼女を天才だといわしめたのか?謙虚をモットーにする日本人にしてはダイレクトな発言です。一端を元草月流の先生は教えてくれました。少し昔になりますが、東京ドームで華道家達による花の競演が開かれました。いっ時テレビに出ていた有名な華道家さんも競演者のひとりでした。先の元草月流の先生はその方と同輩だったそうです。さて、有名な華道家さんは用意してある花にいち早く駆けつけゴッソリ持って行ってしまったそうです。残った花は大した種類ではない。しかし、そのわずかに残った大したことのない花を用いて、女弟子さんは見事な盛り付けを完成させたのです。元草月流の先生は、『えこひいきではなく、あの有名な華道家よりも見事な作品だった』と褒めておられました。その天才女性先日久しぶりに受診されました。にこやかにしているお顔を見るに、元草月流の先生のお言葉が思いだされるのです。小さくとも努力と工夫と楽しむことで、何でも大きさ・多さのみを誇る驕れる国を叩きのめすことができるでしょう。

 それにしても大谷選手のホームランは、日本人にとって一服の清涼剤です。遠慮せず、大リーグなんぞぶっ壊せ!

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