ゲシュタポ長官のお抱え整体師 後編
すぐに、ヒムラーに上半身裸になり、ソファーに仰向けになるよう促します。意外にも、ケルステンは、背中・背骨は全く診ずに、腹部に手のひらを当て、病巣を探し当てます。彼は、胃痛ではあるが、交感神経、つまりストレスが大きい原因だと断定します。具体的な施術の段取りは、腹部を中心に押したり、こねくり回すといったものです。
ほとんど、感性の施術のようで、作者もこれ以上は表現できないようです。私だったらどうするか?想像してみました。私なら、まず背中から入り、後、ヒムラーを仰向けにします。ケルステンは、胃の調整もしているでしょうが、私は、腹部深層にある、大腰筋も調整しているな?と推測します。大腰筋のポイントは、別名ストレスポイントと言われており、腰痛のみならず、脚の痺れにも、胃の調子にも多大な影響があるのです。(まぁ、治療家なら常識のことですが・・・)特に、左側ですね。左大腰筋が、常に胃を下から圧迫しているのだと、私は思いました。この患者さんは、胃だけではなく、慢性ストレスにより、腰、首肩にも相当不調があったと推測されます。私がヒムラーを治療していたら、ユダヤ人や、収容されていた人を、6万人ではなく、10万人くらい救っていたかもしれません!・・というのは、与太話ですm(_ _)m 。ともあれ、医師でも、モルヒネでも治らなかった不調が治り、ヒムラーは感激します。大佐待遇にするというのです。大変な気に入りようで、ケルステンを絶対手放しませんでした。面白いのは、ヒムラーは胃痛のときは、治してくれるケルステンに涙し、何でも希望を叶えました。ところが、喉元過ぎるとメガネを上下させる、尊大なゲシュタポ長官に戻るのは、まるで漫才のようです。
それにしても、この本を読んでいると、実際にゲシュタポの本部にいる気になります。ナンバー2のハイトリッヒは、目だけが笑っていない笑顔で、ケルステンをお茶に誘います。しかし、机の下にある録音ボタンのスイッチを密かに入れたり、自白剤入りのタバコを勧めたりします。長官のヒムラーの弱みに付け込み、多くのユダヤ人や、反抗分子の釈放を、この太っちょ整体師が裏で糸を引いていると、知っていたからです。ケルステンは、命がけでした。不当逮捕されそうになったり、森の中で待ち伏せされ、機関銃で蜂の巣にされかかったりもしたのです。余談ですが、ゲシュタポナンバー2のハイトリッヒは、金髪・青目・長身の、まさにナチスが理想とするゲルマン人でした。しかし、彼はユダヤ人の血を引いていたのです。そのことは、ヒムラーも知っていました。ユダヤ人疑惑は、有名なアイヒマンも、そしてチョビ髭の大将もです。チョビ髭大将に関しては、ナチスのトップシークレットでした。何故このようなことがあるのでしょうか?健康ブログから逸脱するので、ここまでにしますが、ヒントは、戦後ひとつの国家が出来上がったことです。後は、陰謀論者のブログをご参照ください。
恐怖のゲシュタポ長官ヒムラー。小さいころから、勤勉で優しい性格。慈善活動にも熱心で動物にも愛着を持つ。ナチスに入隊する前は、農薬や肥料を扱う会社に勤務。入隊後、鹿狩りを見て「何であんな酷いことをするのだろう?可哀想に!」と側近にこぼす。長官になるも、ユダヤ人を銃殺している現場を見て、嘔吐してしまう。・・こんな人間がゲシュタポ長官になれば、矛盾だらけで、ストレス性の胃痛になるのは当たり前。なぜ、長官になってしまったのか?は置くとして、健康ブログとしては、病は気からの典型だというところにフォーカスしたいです。
いろいろ考えさせられるテーマでした・・・。
ユダヤ人や、収容所の人間を解放するため、ヒムラーに友人だと偽り続けたケルステン。
ケルステンを友人だと信じ、約束は必ず守ったヒムラー。
法律で禁止されていたが、大食のため、家屋で家畜を飼育し、平然と屠殺を繰り返したケルステン。動物にとってのアウシュビッツ。
ほぼ、菜食主義で、動物愛護運動にも熱心だったヒムラー。ヒトラーに知れたら銃殺だが、約束のため、2700人のユダヤ人を収容所から、スイス赤十字社に引き渡したヒムラー。
日本では、あまり知られていないヒムラーとケルステンの関係。皆さんは、どう思われますか?
をはり