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2019-08-26

夏季限定 納涼話し 「黒電話」

いつも、私の実体験をお話ししておりましたが、たまには人から聞いた話しを紹介したいと思います。真偽のほどは、直接体験ではないので皆様のご判断でお聞きくださいませ。


最近は、自宅の固定電話の使用も少なくなってきたようですね。携帯電話が普及する前は、固定電話は債権として、約10万円で売り買いされていたのです。どの家庭にも黒電話があるのは当たり前でした。平成、昭和とふた昔前に遡ってのお話しです。

介護を仕事にするAさんは、巡回先の(仮名)荒井 テルさんから妙なことを相談されました。

台風が去った次の日から、深夜になると無言電話がかかってくるというのです。荒井さんは70を半ば過ぎており、ご主人を先に亡くされてから身寄りも無いので、夜は特に不安になるのだろうとAさんは思いました。

「強い台風だったから、どこかで混線しているのかもしれないですね」
「でもね、もしもしって言っても、何も言わないし、なんかゴソゴソへんな音が聞こえるのよ」
「僕もさすがにわからないので、直接、電話局に連絡してみたらいかがですか?」

ところが、やはり電線にトラブルがあったようで、電話が通じません。仕方なく、荒井さんは直接電話局に赴きました。早速、受付は調査しましょうと手配をしてくれましたが、作業班が予約で埋まって おり、早くて3日後とのこと。まぁ、待ちましょうと荒井さんは返事をして帰宅しました。やはり、深夜になると黒電話は外にも聞こえるのではと思える音量で鳴り響いておりました。どうせ、出ても無言だからと、布団を頭から被って寝ることにしました。3日後の昼、深夜でもないのに、黒電話が鳴りました。出てみると、先日の電話局の作業班の人間からでした。

「どうも、ご不便をおかけしました。滅多にないのですが、この間の台風の影響で、断線して地面にに垂れたままでした。もう、大丈夫ですよ」

あぁ、良かったと荒井さんは思ったものの、不思議に思い質問しました。

「あの、断線していたのに、どうして深夜電話がかかってきたのでしょうか?」
「まさか、勘違いでしょう!掛かってくるわけないですよ」
「そんな、勘違いじゃありません!一体どこに電話線は垂れていたのですか?」
すると、作業班の男は急に口ごもるのですが、催促に負けて答えました。
「え〜っとですね、実は・・、墓場だったんです」

電話は、回復したものの、昼の作業班の言葉が気になり、気味が悪くなりました。でも、もう完全に直ったのだら、混線もないだろうと、荒井さんは思い直しました。

また、夜が訪れます。
まさか、鳴らないと思われた黒電話が、深夜にけたたましく鳴りました。
恐る恐る、荒井さんは電話口に出ました。そして

「・・もしもし!」
初めて、受話器から声が聞こえてきました。

翌朝、荒井さんは、介護のAさんを心待ちにしていました。
訪れたAさんに、速攻玄関で昨晩のいきさつを聞いてもらいました。
「直ったのに、また掛かってきた?それで、相手は何て言ったんですか?」
「・・迎えに行くぞって」
「そんなの、タチの悪いイタズラに決まってますよ!もう、深夜の電話には出ない方がいいですね」
Aさんは笑い飛ばしましたが、荒井さんは、俯いたままでした。

2日空けて、Aさんはまた荒井さん宅を訪れますが、何やら人が出入りしていて、様子が変です。

丁度、鉢合わせしてのは、隣に住む年配の女性でした。どうしたのかAさんは事情を聞くと、昨夜、元気だった荒井さんが急に容態が悪くなり、心不全で亡くなったと告げられました。

荒井さん宅の、ここ一連の出来事は、妄想に違いないとAさんは思っていましたが、気味の悪い偶然に、もう少し話しを聞いてあげればよかった!と後悔されていました。

をはり

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